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「……」
「部屋は余っているし、家具類は揃ってるから、身の回りの荷物を持ってくれば、今日からでも住める」
「……」
「そうだな。そうするか」
あまりにも突拍子もない発言に、目が点になったままの私を置き去りに、何か考えがまとまったらしい凌は、着々と同棲計画を立てていく。
「お前、今日、会社に行って報告書出したさっさと家に帰って、荷物整理してろ。仕事が終わったら迎えに行く」
更に続けて、
「とりあえず4、5日戻らなくてもいいだけの着替えと必要な日用品をまとめて、後は引っ越し準備に取りかかっておけ。日を決めて引っ越しすればいい」
次々と凌の口から出てくる言葉に
「待って!!」
私は思わず叫んでいた。
私の叫び声に、凌は怪訝な顔でこちらを見るが、ここで引くわけにはいかないと続ける。
「そんなこと勝手に決められても困ります!!昨日初めてプライベートで会話したり、食事したりしたばかりなのに。いきなり同棲とか意味がわかりません!!」
と私が反抗すると、
「会話や食事だけじゃないぞ。キスもしたし、朝まで同じベッドで寝たぞ」
凌は人の目など全く気にせず、爆弾発言。
「だいたい、側にいてほしいとしがみついてきたのはお前の方だ」
(そうでした…)
でも、でもやっぱり言わなきゃ!!
「まだ自分の気持ちがはっきりしてないのに、一緒に暮らすなんてありえない!それに、両親にだって、何て言ったらいいの!?そんなの困る!!」
息を吸うことも忘れ、いっきにまくし立てる。
すると凌は、まるで理解出来ないというような顔をして、
「ご両親のことが気になるなら、次の休みにでも挨拶に行こう」
と、彼はさっきよりも強烈な、私の人生最大の爆弾を落とした。
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