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「それに」
「それに?」
「俺はこれまでもこれから先も、お前以外の女で苦労するつもりはない」
私の頭に手を乗せて、苦笑しながら言う凌。
「苦労って……。私、そんなに凌に苦労かけてる!?」
「精神的にな。だって、そうだろう?階段から突き落とされるわ、襲われるわ。お前といると、気苦労が絶えない」
「……そうだよね。ごめんなさい」
「だが、肉体的にはまだまだ余裕があるから、いくらでも襲ってもらって結構だ。手始めに今晩だったな」
意地悪な凌の笑いに、
「知らないっ!!」
頬を膨らませて、頭の上の手を払いのけた。
ーーーーーー
あれからしばらして散歩から帰ってきた私達は、部屋の中庭にある露天風呂に入ることにした。
「先に入ってこい」
凌にそう言われ、ありがたくお言葉に甘えることにする。
「昼間とは違う温泉なんて、贅沢。大好きな人と美味しいものを食べて、温泉入って、私って幸せ者だなぁ」
肩までお風呂に浸かり、両手でお湯をすくいながら呟く。
「そうか。それは良かった。では、その幸せを俺にも分けてくれ」
扉の開く音がしたかと思うと、凌の声と歩く足音。
そして、背後に凌の気配。
一気に溢れかえったお湯に代わって、凌の素肌が私に触れる。
腕に、背中に感じる熱は、どんどん熱さを増していく。
「悠莉、愛してる」
耳元で囁かれ、動いた唇が耳たぶをかすめる。
背後から回された腕で固定され、襟足から背中にかけて与えられる刺激は徐々に熱を増し、私を快楽へといざなっていった。
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