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8. if #2
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買い物を終え家に帰ると、当然のことながら結構いい時間になっていた。
購入した大量の食材の数々は明日小分けすることにして、とりあえず冷蔵庫にしまい、夕食(夜食?)の支度に取りかかる。
時間も時間なので胃にもたれないように、鶏ささみの梅しそ焼きと温野菜のサラダ、ワンタンスープという軽めのメニュー。
手早く作って、書斎で仕事をしている凌を呼びに行った。
「「いただきます」」
久々に2人で手を合わせて同じ食事を食べる。
「おいしい!!やっぱり一緒に食べるごはんは格別だね」
「そうだな。そういえば最近あまりなかったな。……寂しかったか?」
「えっ?……そんなことないよ」
思いもよらなかった問いかけに、微妙な間が空く。
「そうか?」
「うん。だって仕事だもん、仕方ないよ」
その答えに凌は何か言いたげに私を見たが、結局何も言わず食事を再開した。
「明日はどうするんだ?」
「午前中に病院に行こうと思ってるけど……」
“何か不都合でもあるのだろうか?”と思いながら返答すると、
「俺も行くから起こしてくれ」
凌から驚きの言葉が発せられた。
「……えっ?……えぇーっ!?」
「うるさい」
あまりの驚きに、思わず大声を出してしまい怒られる。が、落ち込んでいる場合ではない!!
なぜなら“凌と産婦人科”なんて、最も似合わない組み合わせだし、しかも院内にいるのはほぼ女性という中で、この俺様イケメンはとにかく目立つこと必至だ。
「だ、大丈夫よ、凌。検査ぐらい1人で行けるわ。それに、仕事も忙しいのに悪いしっ!!」
出来るものなら阻止したいと、やんわりお断りしてみるが、
「いや、俺も行く」
どうやら無駄だったようだ。
「……よろしくお願いします」
最終的に頭を下げるしか、私に残された道はなかった。
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