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「えっ!?」
真理子さんから声が上がる。
「ということだから、コーヒー飲んだら出るからね」
「和樹さん、先程悠莉さんにも言いましたが、送っていただかなくても大丈夫ですから」
「ダーメ!!」
一人で帰ると言い張る真理子さんに、ここは譲れないとばかりに、きつめの口調で言い返す和樹さん。
「あのー、お二人はどういったお知り合いなんでしょう?」
私は、ずっと聞きたくて聞けなかったことを口にした。
「真理子さんは、僕が奥さんにと望んでる人だよ。まだO.K.はもらってないけど」
「奥さんっ!?」
思いもよらなかった2人の関係にポカンとしていると、
「黙っててごめんなさい。言わなきゃとは思ってたんだけど……」
真理子さんが申し訳なさそうに言う。
「いえいえ、そんなっ!!人それぞれ事情もあるでしょうし」
そこで、ふと思いつく。
「もしかして、昨日、今日とこの辺りで頻繁に見かけたのは、和樹さんに会う為?」
「あのっ、それはっ!!」
真理子さんのあまりの慌てように、“もしかして禁句だった?”と思ったが、時すでに遅し。
「えっ、真理子さん、俺に会いに来てくれたの?」
至近距離で私の声が聞こえないはずもなく、それを聞いた和樹さんは大喜び。
すると真理子さん、和樹さんの側へトコトコ歩いて行ったかと思うと、
“パシッ”
頬を叩いた。
「何のん気に喜んでんのよ!!弟の家に行くって言ったきり連絡もないし。迷惑かけたくないって気持ちはわかるけど、私がどれだけ心配したか!!」
一気に話す真理子さん。
「……ごめん」
和樹さんは彼女をしっかり抱きしめた。
「やっぱり君しかいない。もう一度言う。俺と結婚してくれ」
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