9. 訪問者は突然に #2

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「えっ、ちょっ、ちょっと、突然何言ってるのよ。悠莉さんがいるのよ!!」 真っ赤な顔をしながらも、抱きしめる腕から逃れようと、必死にもがく真理子さんだが、男性の力にかなうはずもなく、ジタバタするのが関の山。 「あきらめて。我慢できない」 これでもかっていうぐらいの甘い顔と声で攻める和樹さん。 「……///」 (あんな色気ムンムンに出されたら、もう赤面するしかないよな~) 言葉なく俯く真理子さんを見て思う。 私は、そっとその場から立ち去った。 「話はまとまったのか?」 珍しくリビングでテレビを見てくつろいでいた凌が、チラリとこちらを見て言う。 「うーん、まとまりつつある?」 「何だ、その曖昧な返事は」 「只今、和樹さんが絶賛口説き中なの」 「そうか」 私は凌の返答に、ふと食事中に彼が和樹さんに言った言葉を思い出した。 (凌、何か知ってるふうだったよなぁ) 「ねえ、凌って2人の関係知ってたの?」 「ああ、和樹が家に来た時聞いた」 「そうだったんだ。……和樹さん、真剣みたいだね。びっくりしちゃった」 「当然だろう。その為に、他の女性関係を全て切ったぐらいだからな」 「それで、今回こんな問題に?」 「そうみたいだな」 あの“三十路を過ぎたチャラ男”代表のような和樹さんが、本気で一人の女性を好きになったということに驚きを隠せないが、本当に良かったと思う。 「うまくいくといいね」 「そうだな」 私の言葉に相づちを打った凌の顔は、とても、とても優しい顔をしていた。
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