155人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーーーー
「2人っきりになっちゃったね」
「ああ」
私と凌、お互い顔を見合わせる。
そう、私達は今、自宅で静かにコーヒーを飲んでいる。
あれから数分して、帰る旨を告げにリビングに顔を出した真理子さんは、頬が上気していて、何となく目がトロンとしていたのは気のせいではないと思う。
だいたい何があったのか想像出来そうな気がするが、あえてここは詮索しないことにしよう。
結局、食後のコーヒーも飲むことなく、慌ただしく帰って行った。
もちろん、和樹さんと共に……。
「あの2人結婚するのかな?」
「さあな」
さっきとは打って変わって、つれない返事の凌。
「そんなこと言って。凌だって和樹さんのこと心配してるくせに」
「心配はしてない。あいつはゴキブリ並みに、どこでもどんな状況でも生きていける奴だからな」
「凌ってば、言い過ぎ!!」
軽く肩を叩く。
「まあ、あの遊び人が落ち着くのは世の女性の為にもいいことだな」
そう言う凌の顔は穏やかで、きっと和樹さんの幸せを望んでいるんだろうということがわかる。
「結婚式とかするのかな?真理子さんならドレスより白無垢が似合いそう」
1人でウキウキ妄想する私に、
「人のこともいいが、自分のこともそろそろ考えたらどうだ?」
と、意味不明な質問が飛んでくる。
「へっ?」
「式、挙げるぞ」
間抜け面の私に、凌は衝撃発言をした。
最初のコメントを投稿しよう!