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9. 訪問者は突然に #2
「ごめんなさい」
急いで真理子さんの所へ戻った私。
「お客様ですか?もう随分長居したことだし、もしお邪魔なら私は失礼しますが?」
「いいえ!!真理子さんの時間の許す限り居て下さい。もう、全力でお願いします!!」
私の必死さに目を丸くする真理子さん。
「まあ、悠莉さんさえよければ」
「あっ、でも、息子さんがいらっしゃるんですよね?お腹すかせて待ってるかも」
今更ながら気付いた私。半ば無理矢理家に招いたことを、申し訳なく思う。
「息子なら大丈夫です。昨日から、近くにある私の実家に行ってますので」
「そうなんですか?」
「ええ。そっちからの方が学校が近いので、しょっちゅう泊まりに行ってるんですよ。両親も喜んでるし、本人もガミガミ言われないから居心地いいんだろうと思います」
クスッと笑う真理子さん。子供さんへの愛情が伝わってくる。
「それなら、晩御飯食べて行かれませんか?そろそろ彼も帰ってくると思いますし」
そう誘ってみるが、
「いいえ、せっかくのお二人の時間の邪魔はしたくないので」
と、断られてしまった。
「実は二人じゃないんです。正確に言うと、昨日から彼のお兄さんが泊まってるので、もし、一緒でよければなんですが?」
「でしたら、尚更おいとまさせて頂きます。ご好意はありがたいですが、他人の私が家族の輪に入ることなどできません」
「そうですか……」
真理子さんの意志の強い決断に、頷くしかなかった。
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