0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
夜の街、きらめくネオン、金曜ということもあり、まだ街の中は慌ただしい深夜一時。
カランコロン。
ドアベルの音と共に本日最後のお客様のご来店です。
『レイちゃん、ちょっと?もー、あ、しーん!助けて!』
と、呼ばれてるのが、BAR 浪漫のバーテン シンこと田山伸一。前のお客のグラスを洗う手を拭きながら、レイと呼ばれる女性を軽くお姫様抱っこの状態で抱える。
『あ、また、レイちゃん抜けちゃったの?』
シンに抱きかかえられ、幸せそうな顔を浮かべてるのがレイこと佐藤怜奈。
『馬鹿課長が、散々飲ませるんだもーん。困っちゃうわよ。あわよくば、連れて帰ろうとでも思ってんのかしら?セクハラで訴えてやる』
そして、やれやれ、という顔でカウンターに腰掛けたのが、怜奈の先輩チグサこと小館千草。
レイの綺麗にカールされた髪が崩れないように脇にまとめてあげながら、ソファに寝かせる。
『うーん、しんさぁん』
手で、シンのことを探すも、掴まれすんなりタオルケットの中に仕舞われる。
頭を軽く撫でつつ、バーカウンターに戻ってくる。
『いつも通り?』
優しい声は、スッと店の中に消える。
ジッっと見つめてくる目元を、うまく交わす。
『うん。ロック。あ、でも、今日はダブルで』
『なんか、あったのか?』
最初のコメントを投稿しよう!