第1章

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社会人になって初めて知ったのは、今までどれだけ周りに甘やかされていたかという現実だった。 誰も助けてはくれない。 頑張るだけではダメな世界、なんて知らなかった。 結果を残すことの難しさとか、努力しても報われない虚しさとか、様々なことを経験していくなかで、生来の負けず嫌いな性格が顔を出す。 これだから女は、なんて絶対言わせない。 ただ男というだけで、私より優位に立つ同僚たち。 昼夜の区別なく、働いて、働いて、働いた。 そんな中で、男なんて作ってる暇なんてなかった。 会社に泊まりこみだってした。 自宅に帰るのなんて、シャワーを浴びて、仮眠するくらい。 日常生活の全ては、仕事になった。 仲のよかった友人たちと、一緒に出かける機会も減っていく。 自分自身をすり減らして、ようやく今があるのに、どうして落ちるときは一瞬なんだろう。 女は若くてかわいい子に限る。 そんな時代遅れの堅物たちが、会社の中で幅を利かせている以上、最初から私の居場所はなかったというのか。
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