第1章

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夢を、見てしまった。 頑張れば、報われる、と。 途中までは、確かに頑張って良かった、そう思えた。 けれど、ある時期から、厄介者扱いされ始めた気がする。 いや、気のせいではない。 大きな企画や、イベントから、全て外され、地味な内部処理が多くなった。 入念に準備されていたかのように、全ての手はずは整っていた。 そう、線路が敷かれるように、私の退路もまた、作られていた。 このまま、終わるわけにはいかない。 必死にあがいた。 けど、もがけばもがくほど、深みにはまる。 こんな状態で、良い仕事ができるはずもなく、培ってきた信用とか、信頼とか、何もかもが、無になりかけていた。 何のために、仕事をするんだろう? もちろん、生きていくため。 だけど、それだけで続けられるわけでもない。 お金を稼ぐ以上の、何かがなければ、続かない。 男だったら、家族を養うためとか、理由はいくらでもあるんだろう。 夫も、子供もいない私は、なくすものがないと思われているのか。
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