1人が本棚に入れています
本棚に追加
クレーンがゆっくり上昇すると共に縦長のぬいぐるみも徐々にその姿を現し、クレアは嬉しさのあまりピョンピョン跳ねながら喜んでいた。
取り出し口からぬいぐるみを取り出すと、思い切りギュッと抱き締めた。
「やったな」
「うん♪」
無邪気に喜ぶクレアに、カンナも微笑んだ。
正直、どの辺が可愛いのかカンナには理解できないが、これを可愛いと言うのはキモカワグッズ集めが趣味のクレアくらいだろう。
「俺には分からない世界だな」
カンナがぬいぐるみを覗き込んだ時、とうとう我慢の限界を超えたキリナが二人の間に入り引き離した。
「カンナ、クレアに近づきすぎだ!」
「え?隊長?」
「お兄ちゃん?」
まさか乱入してくるとは思っていなかった二人が驚いてほぼ同時に声を上げた。
「撮影だか何だか知らんが、さっきから見てればやたらと近いし、それに何だ、その格好は!」
「衣裳だよ」
キリナに責められて、クレアは頬を膨らませて反論すると、そこに助監督が入ってきた。
「すみませんが、邪魔されちゃ困るんですよね。これも仕事なんで」
「こんなの認められるか!」
「お兄ちゃん…邪魔するならもう口聞かない」
クレアの一言が効いたのか、キリナは肩を落として退散した。
最初のコメントを投稿しよう!