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「まさか隊長が見てるとは思わなかったな」
「もう、嫌になっちゃう。過保護過ぎるんだもん」
キリナの乱入に腹を立てたままクレアが文句を言うと、助監督から休憩の指示が出た。
「画もそこそこ撮れたので、あとは夕方のシーンのみですよ」
助監督の言葉を聞いて、撮影内容を思い出したカンナとクレアが互いの顔を見て照れて俯いた。
休憩が終わりに近づき、カンナが撮影場所となる砂浜から海へと伸びる桟橋を近くから眺めていた時だった。
「カンナ」
凄く嫌な予感はしたのだが覚悟を決めて振り向くと、そこには予想通り酷くしかめっ面のキリナが。
「お前、分かってるだろうが、少しでもクレアの唇に触れてみろ!反応弾で蒸発させるからな」
「隊長、それは…」
「したフリで良いだろ、フリで!何でよりによってこんな撮影が…」
ぶつぶつ文句を言うキリナを少し呆れながら見て、カンナは今までの舞台での演出などで本当にしているように見せる心得はあるので、頭の中で少し構図などを考えていた。
「お兄ちゃん!また何か言ってる!」
クレアが小走りに近づき、キリナに詰め寄った。
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