1人が本棚に入れています
本棚に追加
撮影内容を確認し、クレアとカンナが桟橋を緊張からか、無言のまま中程まで進む。
そして指定された位置まで進むとクレアがカンナの方を振り返り、それを確認したスタッフがカチンコを鳴らす。
手出しも口出しも出来ないキリナだけが、その様子を怒りを何とか抑えながら見つめている。
夕焼けの中、照れから頬を赤く染めながらクレアがカンナを見上げると、一陣の風が二人を包み込み、クレアの被っていた帽子を悪戯に掠め取っていく。
「あっ…」
カンナの方に飛ばされた帽子を取ろうと背伸びして手を伸ばしたクレアだったが、背伸びしてカンナに近づいた事に変わりはなく、カンナは覚悟を決めてクレアに顔を近づけた。
だがクレアは自分からやると言ったことなのに、いざとなったら恥ずかしさが勝ってしまって、咄嗟に傍らにいたアイくんを目の前に突き出してしまい、カンナはアイくんとキスをした。
「ピィ~!?」
突然のことにアイくんはパニックになり、クレアの手の中でグッタリしてしまった。
「あ、アイくん?」
焦るクレアだが、クレアの唇が護られたことにキリナは喜びを隠しきれず、その場でアイくんに敬意を払う。
「英雄に敬礼っ!」
最初のコメントを投稿しよう!