第1章

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「何をやっている。さっさとブチューっとやらんか、ブチューっと」  いきなり二人の目の前にナタリーが現れて、キスシーンのやり直しを提案してきた。  だがそういきなり言われて、はいそうですかと出来るならばNGなど出すはずもなく。  どうして良いのか困っていると、キースがナタリーを背後から抱き上げて肩に担いだ。 「はいはい、お子様はこっちでね」 「こら、キース!私を子供扱いするな!」  手足をばたつかせて反論するナタリーだが、キースからすればいつもの事なのだろう。  危なげな様子もなく、ナタリーを担いだままスタスタと桟橋を降りていく。  騒ぐだけ騒いで去って行った二人に毒気を抜かれたカンナたちは顔を見合わせてクスリと笑い、程よく緊張が解かれたのか、テイク2という言葉と共にカチンコが振られたので、そのままごく自然に唇を重ねた。
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