1人が本棚に入れています
本棚に追加
リゾート地・マヤン島。
徐々に人気の出始めたクレア・チェンの新曲のPV撮影が行われるため、ビーチに数人のスタッフたちが機材を持ち込んでいた。
海もあり山もある自然溢れるこのリゾート島は人気のスポットで、普段からたくさんの観光客が訪れる。
今回のクレアのPV撮影はこのマヤン島で過ごす恋人たちがテーマになっており、美しい風景とそこで過ごす二人を撮るはずだった。
「何?どういうことだ!」
「ですから、相手役の彼が高熱でダウンしたそうで、キャンセルしたいと…」
「何がキャンセルだ!何がなんでも引っ張ってこい!」
助監督に怒鳴られた若手のADは恐縮してしまって、砂に足を取られながら走って行く。
「監督、どうします?高熱でフラフラな奴使っても、良い画は撮れませんよ?」
助監督がサングラスを掛けた男性を振り返るが、監督は黙って腕組をしている。
「ジュン、キース知らないか?」
クレアの撮影隊のテントの前を五月カンナが通り過ぎ、同僚のジュン・ルードリッヒに声を掛けた。
「さっき向こうでナンパしてるの見かけましたけど」
呆れながら答えるジュンに、カンナはため息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!