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真っ直ぐ自分を射ぬく鮮やかな緑色の瞳から逃れられなくて、ナタリーは視線を反らしたいのに反らせずにいた。
まるで獲物を狙うハンターのよう―――と、彼の真剣な眼差しの例えを心の中で思い、ゴクリと生唾を飲み込んで喉をならした。
「何だよ、怯えてるのか?」
「わ、私がお前相手になぜ怯える?」
本当のことを指摘されて虚勢を張ると、キースがクスリと笑う。
「へぇ?そうは見えないけど?」
「キース、お前何か変だぞ。何かあったのか?」
ナタリーがキースを見上げて尋ねると、キースは答えずに眼鏡の弦を中指で押し上げて位置を直した。
そしてやや間を置いてから、ナタリーの問いの答えとは違うことを口にした。
「さっき、子供扱いするなって言ってたけど、そんなに嫌なのか?」
「当たり前だろう!少しくらいお前の方が身体が大きいからって、人のことをお子様だの肩に担ぐなど…」
「俺はこのサイズ、気に入ってるんだけどな」
ナタリーの髪に手を伸ばして呟く思いがけないキースの言葉に、ナタリーの文句が止まる。
「見上げるよりは見下ろしたいし、小さい方が逃さない」
いつもと様子の違うキースにナタリーは戸惑っていた。
もう一度、何があった?と問おうとした時だった。
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