第2章

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 キースの顔がかなり目の前まで近づいてきて、吐息まで感じられるくらいの距離にナタリーが焦る。 「キース、近づきすぎだ!」 「…大人扱いしろって言ったの、お前だからな」  何を言っている!と反論するつもりが、その言葉を発する暇もなくキースがナタリーの顎に手をかけて上を向かせるとそのまま口を塞いだ。  何が起こっているのか理解できなくて、やっとキスされていることを自覚して、ナタリーは息苦しさからキースとの間に挟まれた手で何度も彼の胸を叩いて抵抗するも、その手はすぐに捕らえられて封じ込められてしまった。 「キー…ス…やだっ」  微かに離れた隙に抵抗の言葉を口にすると、それが逆に煽ってしまったようで、キースはまたすぐにナタリーの唇を奪い、今度は無理矢理ナタリーの口内に舌を潜り込ませた。  逃げ場の無い狭い空間であっという間に捕らえられ、舌に絡み付く初めての感覚と息苦しさでナタリーは頭がクラクラしていた。  好きな人との初めてのキスがこんな一方的だなんて―――。  逃げたくても抵抗しようにも身体の自由を封じられ、拒否の言葉も発することも出来なくて、情けないやら苦しいやらでポロポロ涙が零れる。
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