第2章

7/9
前へ
/25ページ
次へ
「お前にとって、キスなんて大したことじゃないだろう?」  ナタリーが尋ねると、キースは頭を照れ隠しなのかガシガシと掻き乱した。 「言ったろう?誰ともしてないって」 「ちょっと待て。じゃあ何で私と…」 「したかったからした。全部言わなきゃ分からない?」  頭の中で、ファーストキス+私だからしたかった=…という方程式を思い浮かべ、答えを導きだして自惚れだろうかと思いながらも、顔が赤くなるのは止められない。 「まさか…いや、その」  今度はナタリーが狼狽える番。 「本当はもっとロマンチックにやりたかったんだけどな。暴走した。悪かったよ」  キースの言葉に、先程の答えが間違いないと確信しつつ、それでもキチンと言って欲しいのが女の子。 「謝罪と共に私に言うことあるんじゃないのか?」 「小さくて可愛いよって?」  おどけて言うキースに、また子供扱いされたことに腹を立てたナタリーが勢い良く立ち上がった。 「お前はまた私を…」  いつものようにポカポカ殴ろうとすると、キースがその手を止めると耳元に口を寄せ、 「好きだよ」  と、囁いた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加