第1章

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「あれ?あんたは確か助監督の…」 「そうです!ちょっとこちらでお話よろしいですか?」  促されるままカンナはクレアの撮影隊のテントに招き入れられ、監督の前に通された。 「実はクレアさんのPV撮影があるんですが、予定していた相手役が出れなくなりまして、あなたに代役をお願いできないかと…」 「何で俺が!」  助監督の説明に、カンナは声を荒げた。 「お願いしますよ。今日中に撮らないとマズイんです。今から代役探してる時間も無いですし、あなたなら昨日エティアさんの相手役もされてましたから、行けるだろうと監督も言ってまして」  助監督の言葉に、カンナは返事に困ってしまった。  確かに昨日、エティア・ハーツのPV撮影がやはりここマヤン島であり、夕暮れ時にエティアとキスシーンの撮影が行われた。  エティアは撮影とバカンスも兼ねていて、撮影の夕暮れまではカンナと共にスキューバダイビングなどして過ごし、撮影も相手役が気に入らないと撮影直前で外し、マネージャーのグレイスからカンナに護衛の延長としてやって欲しいとオファーがあったのだ。  引き受けてから撮影内容を知り、カンナが焦ったのは言うまでもない。  そしてその撮影を行ったのも、この撮影隊だった。
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