第1章

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 用意された水着の上からパーカーを羽織り、帽子を被ってからクレアはカンナと待ち合わせしている海の家に向かった。  中に入ると、バカンス中のSMSフロンティア支社のクルーたちがいるのが目についたが、撮影中なので挨拶せずに真っ直ぐカンナの席へと歩み寄る。 「待った?」 「あ、ああ」  クレアの水着姿に少し赤くなりながらぎこちない様子で返事するカンナにクレアも照れが移ってしまったが、ここで俯いてしまってはダメだと自分を奮い起こし、カンナの手を取って席を立たせる。 「行こう!」 「おい、そんなに引っ張るなって」  楽しそうに外に連れ出すクレアに引きずられるようにカンナがついていく。 「初々しさがあって良いですね」  助監督の言葉に監督も頷き、それを見ていたカナリアとキャシーは二人でニヤニヤしている。 「キリナはまだ知らないのか?」 「撮影の内容までは知らされてないみたい。妹のデートの邪魔するほど野暮でないことを祈るわ」  キャシーの呆れた言い方にカナリアが鼻で笑う。 「そうだな、これでは私の方がお邪魔虫だな。退散しておくか」 「べ、別に私はキリナのことなんて待ってないもの」 「誰もキリナだとは言ってないが?」  からかわれてキャシーが一気に真っ赤になり、カナリアはニヤリとしたのだった。
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