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デブがリモコンで操作すると、高さが3メートルを超える鉄の門が音もなく開き、レクサスは静かに”要塞”の中にすべりこんだ。
ピロティに車は停まった。デブが車から降りて私が座っている方のドアを開けた。
「降りろ」
ホセが言った。
私は言われたとおりにした。
車から降りるとデブにボディチェックをされた。ホセの銃口は私の背中に軽く触れている。
「大丈夫です」
「なんだ、しゃべれるんじゃないか、名前を教えてくれよ」
「小板橋」
「よろしくな小板橋さん、おれの名前は知ってるんだろう」
その問いかけに答えはなかった。私は小板橋に右腕を掴まれて玄関の前まで歩かされた。ホセの銃口は相変わらず背中にある。
「おい」
ホセは拳銃を小板橋に渡した。そのときも銃口は私に向けられたままで、拳銃を奪い取るなどという離れ業はできなかった。
ホセが両手をセンサーに当てるとピッという電子音がした。そのあとカードを機械に挿入すると玄関の扉が開いた。
ホセの両手とカードが入手できれば、この扉は開けることができる。そんなことがわかったところで、今の私にはなんの役にもたたない。
再びホセが拳銃を持ち小板橋が私の右腕を掴んだ。
促されるままに、私は建物の中に入った。今夜の主役が、私の到着を待ちかねているはずだ。
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