第1章

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 悪かった。ケンイチだろ? これケンイチがやってるんだろ?  俺が悪かったよ。  だからその色水をまくのをやめろ。  もう手足がふやけて、立つ事も這う事もできない。  何もかもが真っ赤になって、全身から出血しているみたいだ。  もうダメだ、このまま俺は溶けて消えてしまうのか?  と思っていたら、赤い水が降り注ぐのが止まった。  俺の言葉が通じたのだろうか?  見上げると、今度は頭の上から何か巨大な物が降りてくるのが見える。  俺を押しつぶそうとするみたいに。  怪獣が来たのだ。いや、たぶんあれは俺の足だ。  逃げなければいけない。走って逃げなければならない。  だがふにゃふにゃになった俺の手足はまるで言う事をきかないのだ。  許してくれよ。  踏み潰された。全身がグキグキ鳴る。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!  全身の骨がクニャクニャとなった。いや、紙になった俺に骨などあるのか?  知るか。  足があがって行く。  くそっ、遊び半分で俺を踏み潰しやがって。  でも耐えたぞ、ざまぁみろ。  あれ? なんでまた降りてくるんだよ? また踏み潰すのか? やめろよ、やめろ、やめろぉぉぉぉぉ!  それから、俺は何度も何度も踏み潰された。  ああ、あの時俺は、紙の町を何回踏んだっけ?  これはいつまで続くんだ?  誰か、助け……
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