恋する乙女へ第一歩

8/22
前へ
/440ページ
次へ
葵はもう一度押し黙って、そっと口を開いた。  ・・・ 「フツーは、“好きだ。付き合ってくれ”って告白されてる。…だいたいはね。マンガでは」 小さな声だった。 それを聞いて、カッと目を開く。 ガバッと起き上がって葵を見た。 「そうやって告白されるもんなのか!?」 叫んだせいでゴホゴホと咳こんだ。 若干の引きつけを起こした。 「だ、大丈夫!?」 葵はそんなオレに驚いて背をさすってくれた。 涙の浮かんだ目尻さえ無視して、葵に訊ねる。 「じゃ、じゃぁ…!オレってもしかして、まだ倉森と付き合ってねーんじゃねーのか…!?」 まさかの展開だった。 人はいつから、付き合いだすんだ!? いつ、約束が結ばれるんだ!? さすがの葵も、「うぅーん」と返事に困っていた。 オレも困った。 キスはしていても、好きだって言いあっていても、それがいつからスタートされるかっていうのが分からなかった。 「いっそ…レオくんに聞いてみる…とか?“オレ達付き合ってるのか?”って」 葵が天井を指差して言う。 「葵なら聞けるか!?」 慄いて葵を見た。 葵は「無理。」と速攻の返事。 「ううぅーん。だよねー…」と腕を組んで、頭を悩ませる。 なんてこった。 まさか、ここでまた、躓くことになるとは!
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1331人が本棚に入れています
本棚に追加