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葵はもう一度押し黙って、そっと口を開いた。
・・・
「フツーは、“好きだ。付き合ってくれ”って告白されてる。…だいたいはね。マンガでは」
小さな声だった。
それを聞いて、カッと目を開く。
ガバッと起き上がって葵を見た。
「そうやって告白されるもんなのか!?」
叫んだせいでゴホゴホと咳こんだ。
若干の引きつけを起こした。
「だ、大丈夫!?」
葵はそんなオレに驚いて背をさすってくれた。
涙の浮かんだ目尻さえ無視して、葵に訊ねる。
「じゃ、じゃぁ…!オレってもしかして、まだ倉森と付き合ってねーんじゃねーのか…!?」
まさかの展開だった。
人はいつから、付き合いだすんだ!?
いつ、約束が結ばれるんだ!?
さすがの葵も、「うぅーん」と返事に困っていた。
オレも困った。
キスはしていても、好きだって言いあっていても、それがいつからスタートされるかっていうのが分からなかった。
「いっそ…レオくんに聞いてみる…とか?“オレ達付き合ってるのか?”って」
葵が天井を指差して言う。
「葵なら聞けるか!?」
慄いて葵を見た。
葵は「無理。」と速攻の返事。
「ううぅーん。だよねー…」と腕を組んで、頭を悩ませる。
なんてこった。
まさか、ここでまた、躓くことになるとは!
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