恋する乙女へ第一歩

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だけどそれからの春休み。 「元気になったのか」って倉森がオレの部屋にやってきた。 心がピョンッと元気になる気がした。 「どうしてここに…!?」 「母さんが」 そう言って、またお菓子の箱。 前のオレなら絶対に「わーい!」って大喜びだった。 だけど今のオレ、少しだけシュンとしているのが分かる。 「…いらなかった?」 オレの反応を見て、倉森が顔をしかめた。 「えっ、いや、えと…いるっ!」 慌てて顔を上げた。 笑顔を作った。 作り笑いだった。 それから少しだけ倉森はオレの部屋にいた。 「そんな病弱だったか?」っていつもの通りに減らず口を叩いて、オレもいつも通りに「何言ってんだよ!」と突っかかった。 それに少しだけホッとする。 ほら、大丈夫だ。と頷いているオレがいる。
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