恋する乙女へ第一歩

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しかしその一方で。 「今のこの関係は何なの?」と言及したいオレもいた。 倉森にはぜってー言えねー。 オレが聞くには悔しかった。 あんだけ散々、嫌がってたくせに関係性を求めてる。 それを聞けばすぐさま、ベッドに押し倒されるんじゃないかという懸念もあった。…ちょっとだけ。 そして、オレは思い出した。 倉森は言ったんだ。 『何もしねーから』って。 それってこういうことなのか? 付き合うとかそういうことでもないってことなのか? それからのオレは、葵と同じ病にかかってしまった。 少女マンガの鬼になった。 えっちなシーンだってへっちゃらになった。 主人公の気持ちになって、泣きそうになることさえあった。 (つ、辛ぇぇぇ…!!) 恋って辛いんだ。 恋って泣いてばっかだ。 「葵~~!早く次の巻貸してくれよ~~!!」 葵とのやり取りがこんな会話ばっかになった。 『まだ出てないの!あと3か月待ってて!』 「無理だ!3か月もこんな気持ちではいられねぇよぉぉ…!」 恋って面倒だ。 そして、女って無茶苦茶大変だ!
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