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だんだんと、乙女脳に洗脳され始めていた頃。
春休みももうすぐで終わりという頃に、兄ちゃんがやってきた。
「友ー!元気にしてるかー」
「あっ、兄ちゃん!」
玄関に立つ、背の高い兄ちゃんに駆け寄る。
「今日、非番の日か?」
「んー?今まで仕事だったよ。友は最近、怪我してねーか?」
頭をよしよしと撫でてくれる。
「あれはちょっとしたアクシデントだったんだ!普段のオレならあんなヘマしねーよ!」
頬を膨らませると、兄ちゃんがオレを見つめた。
その顔は笑顔ではあったが、どこか寂しげな顔をしていた。
「ん?どうした?何かついてるか…?」
頬を触ってみる。
すると兄ちゃんは、ふるふると頭を振った。
兄ちゃんはオレの頭を撫でたまま、ちょっぴり悲しそうに言った。
「お前はまだ、このまんまだったのか」
その声にキョトンとして兄ちゃんを見上げた。
「友、お前、俺があげた香水使ってる?」
兄ちゃんは家に上がりながら、そんなことを聞いてきた。
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