1333人が本棚に入れています
本棚に追加
兄ちゃんの後をついていきながら、ふるふると頭を振った。
そういや一度だって使ってなかった。
いつ使えばいいか分かんねーし、香水つけてるってバレると恥ずかしーし。
首を振ったオレを見て、兄ちゃんは「やっぱりな」と頷いた。
「お前ももう今年で17だろ?“オレ”って言う癖そろそろやめないと。お前、好きな男ができた時、嫌がられるぞ~?」
リビングのドアを開けながら、兄ちゃんは言った。
その声は笑っていて、単なる世間話という雰囲気だった。
だけど、オレには…。
「あ、あらあらあら!尊さん!いらしてたならおっしゃってくださったら良かったのに!」
ドアを開けるとすぐさま、竹子さんに見つかった。
兄ちゃんに返事をする暇はなく、竹子さんが椅子へと促す。
「お構いなく」と言いつつも、兄ちゃんは通されたテーブルの椅子に座った。
庭にいた母さんも家の中に入ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!