恋する乙女へ第一歩

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兄ちゃんの後をついていきながら、ふるふると頭を振った。 そういや一度だって使ってなかった。 いつ使えばいいか分かんねーし、香水つけてるってバレると恥ずかしーし。 首を振ったオレを見て、兄ちゃんは「やっぱりな」と頷いた。 「お前ももう今年で17だろ?“オレ”って言う癖そろそろやめないと。お前、好きな男ができた時、嫌がられるぞ~?」 リビングのドアを開けながら、兄ちゃんは言った。 その声は笑っていて、単なる世間話という雰囲気だった。 だけど、オレには…。 「あ、あらあらあら!尊さん!いらしてたならおっしゃってくださったら良かったのに!」 ドアを開けるとすぐさま、竹子さんに見つかった。 兄ちゃんに返事をする暇はなく、竹子さんが椅子へと促す。 「お構いなく」と言いつつも、兄ちゃんは通されたテーブルの椅子に座った。 庭にいた母さんも家の中に入ってきた。
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