1331人が本棚に入れています
本棚に追加
/440ページ
しかしオレは、そのまま自室へ舞い戻った。
バターン!!と大きな音を立ててドアを閉めたので、母さんの怒った声が聞こえてきた。
だけど今のオレには、そんなこと気にもならなかった。
兄ちゃんの言葉が、グルグルと頭の中を廻っている。
『“オレ”っていう癖、そろそろやめないと。好きな男ができた時、嫌がられるぞ~?』
嫌がられるぞ~
嫌がられるぞ~…
「………………!!」
ドバドバと冷や汗が流れた。
そうか。
そういうことだったのか!?
倉森が、たとえ両想いでも「付き合う」って言ってこないのは、…そういうことだったのか?
オレは冷や汗をかいたまま、慌ててベッドの上に転がっているマンガ本を開いた。
女の主人公で自分のことを、オレって言ってる主人公がどこにいる!?
いない
いない
いないぃぃぃ!!
青ざめた顔で、バタン!とマンガ本を閉じた。
あの少女マンガの神様の葵が持っているマンガの中で、自分のことをオレって言ってる主人公は一人もいない。
つーことはすなわち?
そういう女は主人公にもなれない。ってことだ。…そうだろ?
あわあわと指を咥えた。
落ち着いてなんかいられなかった。
オレは自分の性格を1から改めないと恋なんてできないのかもしれない。
付き合うなんてできないのかもしれない。
ジッと黙り込んで、考え込んだ。
すると。
「友~?入ってもいいかー?」
兄ちゃんがドアをノックして、ドアを開けた。
「うわ、何だ?この部屋…」
「兄ちゃんっ!!」
オレは兄ちゃんに飛び付いた。
最初のコメントを投稿しよう!