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しれっと言葉を続けてくれる。
真っ赤になって固まっていたオレは、あまりにも自然に平然と言葉を続ける兄ちゃんに降参する。
恥ずかしかったが、仕方なく小さく頷いた。
「……うん」
やっぱりアイツは、オレが“オレ”だから嫌なのかな?
「そうだなー…。一度“あたし”っつってレオに抱きついてみたら?上手くいったりして」
ベッドから投げ出していた足を組んで兄ちゃんは笑った。
そんなことできるわけがない!
真っ赤になって、高速で首を振った。
「あはは。やっぱ無理か。でもそれが一番だと思うぞ?自分のために変わってくれるって嬉しいと思うし」
大人の男の人にそう言われると、そうなのか…と素直に納得できるオレがいる。
オレは小さく頷きながら、兄ちゃんを見上げた。
「ま、がんばれ」
またオレの頭を撫でて、兄ちゃんは腰を上げた。
「あ、そうそう。」
そこで、兄ちゃんが振り返る。
「そういえば、言うのすっかり忘れてたわ」と兄ちゃんがオレを手招きした。
キョトン、としてそれに従う。
「お前、覚えてる? クリスマスの日のこと――……」
そこまで言われて気が付いた。
『レオが女と歩いてたよ』
すっかり忘れていた!
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