恋する乙女へ第一歩

15/22

1331人が本棚に入れています
本棚に追加
/440ページ
しれっと言葉を続けてくれる。 真っ赤になって固まっていたオレは、あまりにも自然に平然と言葉を続ける兄ちゃんに降参する。 恥ずかしかったが、仕方なく小さく頷いた。 「……うん」 やっぱりアイツは、オレが“オレ”だから嫌なのかな? 「そうだなー…。一度“あたし”っつってレオに抱きついてみたら?上手くいったりして」 ベッドから投げ出していた足を組んで兄ちゃんは笑った。 そんなことできるわけがない! 真っ赤になって、高速で首を振った。 「あはは。やっぱ無理か。でもそれが一番だと思うぞ?自分のために変わってくれるって嬉しいと思うし」 大人の男の人にそう言われると、そうなのか…と素直に納得できるオレがいる。 オレは小さく頷きながら、兄ちゃんを見上げた。 「ま、がんばれ」 またオレの頭を撫でて、兄ちゃんは腰を上げた。 「あ、そうそう。」 そこで、兄ちゃんが振り返る。 「そういえば、言うのすっかり忘れてたわ」と兄ちゃんがオレを手招きした。 キョトン、としてそれに従う。 「お前、覚えてる? クリスマスの日のこと――……」 そこまで言われて気が付いた。 『レオが女と歩いてたよ』 すっかり忘れていた!
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1331人が本棚に入れています
本棚に追加