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「う~ん、まぁ、風邪だねぇ~そりゃもう、ふっつ~の」
黒で統一された内装の、椿の寮部屋。
ベッドに横たわる椿の目の前で、生徒会を構成する集団の一つ、《学部長会》に所属する医学部学部長、欧陽揺(オウ ヨウヨウ)はその狐面を笑ませて、楽しそうに言い放った。
隣にはここまで椿を運んできた一馬もいる。
「……普通で何か悪いか」
楽なスウェットに着替え、熱で頬を上気させた椿は、不機嫌そうに眉を寄せた。
「う?別にぃ~。ただ僕がつまんないなってぇ~(モルモット的な意味で)」
「……っなんで俺がお前の為にちょっと変な風邪にかかんなきゃいけねぇんだよ!!あとなんか漏れちゃいけない本音が見え隠れしてるわ!!」
どうやら、熱にうかされて普段より怒りっぽくなっているらしい。
叫んだ椿はぜいぜいと肩を上下させた。
顔も興奮して赤くなっている。
「おら椿、どーどー。熱、上がるぞ?」
一馬はそんな椿のおでこに、ぺたっとひえぴたを貼った。
ひんやりして気持ちが良い。
一馬が言うことも正論だったし、体もダルかったので、椿は布団に潜り込んだ。
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