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ザワザワ…
初夏の風が木々の間を通り少しだけ涼しいものとなる
大きく葉を着けた大木は先だけ少し凭れみどりのアーチを作っている
葉の間からは光が零れ、程よい日陰がまた良きもの
ここは、とある町の、とある竹林…
人間が忘れてしまった時間がそこにはある。しかし、それゆえか、時が止まったような……
木で出来た、それは立派な古い神社
上から下まで丹精な彫りがされており、この空間が芸術作品そのもの
この神社のながーい階段を降り、数十分で国道というのに(但し車で)人っ子一人見当たらない。
そして、この神社の主人は社の奥で一人、キセルをふかしていた。
主人の口から白い風が吹く。暑くはないのか、この部屋は閉めきられており、風は雲となり霧となり
主人の姿を隠してしまう。
しかし、ただ妖艶に紅い花弁が雲間から
弧を描く
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