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キーンコーンカーンコーン。
「え~、では本日の授業はここまで。」
「はぁ~。やっと終わった。」
やっと6限目が終わって開放気分の俺。
早速帰る用意をしようと、鞄に荷物を入れていると、
「ゆーきとちゃん♪」
と恵斗が後ろから抱きついてきた。
「ちょ、お前まじやめろ。キモい暑い離れろ。」
もう梅雨も開けて本格的な暑さに入ろうというこの時期に、
恵斗の愛は暑苦しい、つかキモい。
「ちょっとー、幸音さーん。心の声だだ漏れだよ恵斗泣いちゃーう。」
俺から離れた恵斗は大げさに泣いたフリをした。
「んで、どしたの?」
「ほら!またスルーだよね!うん、知ってる!
あー、今日俺部活ねぇから放課後どっか行かないかと思って。」
恵斗はサッカー部で、3年生が引退した今はキャプテンを継いでいる期待のエースだ。
総体も終わって一段落した今は、けっこう休みが多いらしい。
俺はというと、帰宅部の重要ポジションに就いているため毎日速やかに下校している。(ただの帰宅部)
「あ~俺今日家に居ないとだめなんだわ。」
そう、俺はこの日を待ちに待っていたんだ!
「え~。なんか用事?」
恵斗が落ち込みながら聞いてくる。
「用事っていうか、前にネットで頼んだS社の新作ヘッドホンが届くんだよ。
楽しみすぎて早く使ってみたいんだ!」
少し興奮気味な俺に恵斗は笑って「俺にも今度貸せよ!」と言い、終礼のため自分の席に戻った。
教卓には既に担任が立っており、終礼を始めようとしていた。
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