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「やあアヤメちゃん、
またあの二人から相談受けてた感じかな?」
「ああ、佐野先輩。
お疲れ様です。」
笑顔で帰っていった二人を見送ると、
唯一のカウンセリング部の先輩、
佐野先輩が入れ替わりで入ってきた。
「はい、そんな感じです。
でも酒匂さんも戸塚君も素直な感じが可愛くて楽しいですよ?」
佐野先輩は私をこの部活に誘ってくれた恩師のような人で、
その人懐っこい笑顔と明るいく楽観的な人柄で、
沢山の人からカウンセリングを頼まれている凄い人だ。
「あはは、
アヤメちゃんってやっぱり凄いなあ。
話をそんな優しい笑顔で聞いてもらえたら、
僕も何回も話に来たくなっちゃうよ!!」
佐野先輩は、
『皆いつ死ぬか分からないから、何時でも未練なく死ねるように周りは幸せにしとく』という、
ネガティブだけど暖かい言葉を大切にしてる人だった。
だから先輩の通った道の周りには明るい顔しかないし、
私は自然にそれが出来るから誰からも頼りにされている先輩を羨ましいと思っていた。
そう思った直後に、
いい噂しかないから裏では野良猫とかを殺してして、
ストレスを解消しているんじゃないかと考えてしまって、
自分の最悪さになんで私なんかが生きているんだろうと考えてしまう。
「いやいや、
私は全然ですよ。
私はただ好きで皆の話を聞いているだけ、
ようはエゴですから。」
だから私はそんな先輩の志は尊敬していて、先輩を見ていると安心感の為に無理矢理いい人を繕って、
好きでも嫌いでもない、
きっと何処かで私を嫌っているだろう人達の話を聞いている自分が恨めしかった。
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