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私がそうして自分の首を自分で絞めて現実から逃げていた時、
玄関からピンポーンと、
インターホンの独特の音がした。
「はーい、今いきまーす。」
私はすぐに外用の笑顔になると、
インターホンのカメラを確認した。
「……あれ、芳川ちゃん?」
ドアの向こうにいたのは、
いつも、今日を除いて毎日私に相談に来る芳川という女の子だった。
彼女はかれこれ17年、
学生生活のほとんどを苛められていた子だった。
まあ、彼女がいろいろと独占欲が強い気持ちわ…
純粋な子なのがいけなかったのだが…
そんな彼女から相談をされて、
いや“頼りにされて”調子に乗った私がいじめから救ってしまったのだ。
それからというもの、
彼女は毎日欠かさず私に相談、というより会話をしにきてくれて、
なんだかそれも頼りにされているような気分になれたので
私にとってはなくてはならない人だった。
「はーい、どうしたの芳川ちゃ……!?」
ドアを開けると同時に芳川ちゃんは、
背中に隠していた包丁を私に突き立ててきた。
「なんでアヤメちゃんはそんなに優しいの…
どうして私なんかを何回も助けてくれるの?
なんで皆に優しいの!?
私…アヤメちゃんのせいで同性が好きになっちゃったんだよ…
だから…アヤメちゃんが他の皆と仲良く話すのが嫌…
アヤメちゃんをわたしだけのものにしたい…
他の誰かに絶対…ぜったい捕られたくない!!」
泣きながら私をじっとみる芳川ちゃんは気持ちが爆発しているように小刻みに震えていた。
「よ…芳川ちゃん落ち着こう…ね!?
ほら深呼吸して…」
「落ち着いてなんていられないから来たんだよ!!
今日だってあの佐野って先輩にアヤメちゃんがとられちゃうんじゃないかって…
だってアヤメちゃんあの先輩とすごくなか良さそうに…笑ってて…
ずっと怖くてしかたなかったんだから!!」
芳川は覚悟を決めていたようで、
目を真っ直ぐに私に向けていた。
「よ…芳川ちゃん。」
「だからもう一緒に死んでもらうって決めたんだ!!
もう誰の物にも絶対させない!!」
芳川ちゃんはそうして私を殺そうと包丁を振りかざしてきたのだった。
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