農耕・狩猟の国 フリア公国

4/15
前へ
/116ページ
次へ
思わずその戦いを見ていたら、兵士の一人が蜘蛛の脚に弾かれて俺の方へ飛んできた。 「げふうっ!」 「ぐあぁっ!」 い、いてえ……。 「ん?」 兵士さん、気失ってる? 「おーい、大丈夫ですかー」 「……………」 まあいっか。 とりあえず逃げよう。 グッ ……。 グッ、グッ、グッ ……。 グイイイイイイイイ ……。 り、両足が挟まれて抜けない……。 気のせいかな。 蜘蛛の頭がこっち向いてるのは。 こっちに近づいてきてるのは! 「い、いかん!」 「アンドレ! 起きろ! 死ぬぞ!」 アンドレって言うんですねこの鉄塊。 「おい! 君! アンドレを連れて逃げろ!」 んな無茶な!? 「ってぎゃああああああああ!?」 く、蜘蛛の顔ちけええええええ!!! え。 なんでこいつ口開いてんのさ。 蜘蛛って液体摂食動物なんじゃ。 あっかん。 詰んだ。 「全く………本当に記憶が…………無いのか…………ゴフッ………世話が焼けるの………ゴフッ」 「へ?」 つい一時間ほど前に聞いた独特の咳に目を開けると、みかん爺こと疫病神がいた。 枯れ木のような杖を蜘蛛の額?に当て、蜘蛛の動きを止めている。 「キシャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」 「うおっふ」 と思えば、蜘蛛は急に叫び、のたうちまわっている。 なにごと(二回目) 「ゴフッ………儂の……権能じゃ……名の通り………ゴフッ………"疫病"を司る力じゃ……」 なるほろ。 つまり今蜘蛛はとんでもなく苦しい死の病に襲われてるってことか。 質悪いわ。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加