67人が本棚に入れています
本棚に追加
うん、でもまあ、早めに職安にこれてよかった。
なんにせよ金がないと死ぬからね。
「おおう……」
木の扉を開けると、中はだだっ広いロビーだった。
奥には、バー?いや、飲み屋が構えていた。
恰幅のいいおっさまたちが木のジョッキ片手に大笑いしながら、酒を流し込んでいる。
「………職安とは……言ったが…………ゴフッ………何でも屋という体の方が………一般的かの……………ゴフッ…………」
「何でも屋ねー」
あれか。
漫画とかでよく出てくるギルドまんまか。
よく見たら掲示板みたいなのあるし。
受付いこ。
分からないなら聞く。これ大事。
「すみませーん」
「はーい! ようこそギルド"レックスサルタ"へ!」
奥から現れたのはすごく普通な女の人だった。
「旅をしていたんですが、恥ずかしながら資金が底をつきまして……。少しここで落ち着こうと思って、仕事を探してるんです」
「では、登録はどうなさいますか?
こちらではあいにく短期登録は扱っておりませんので、10年からのギルドカードになってしまいますが……」
何言ってるか分からぬ。
いや言葉は分かるけど。
ギルドカードとか短期登録とかナニソレ。
『もしもし』
「あ?」
「え?」
『私です。ウルです』
先に名乗りや。
受付嬢に変な目で見られとるがな。
『その世界の知識を持っていないことを思い出しまして。すぐにあなたの中に知識として組み込まれます』
遅いよう。
……お、なんかキタ。
「あ、すみません。短期登録にしておきたいので、紹介状などいただけますか?」
「え? あ、ああ、はい、分かりました。確認や書類等の手続きがございますので、あちらで少々お待ちください」
「ありがとうございます」
あちら=飲み屋
そこにはベロッベロのテタルトがいた。
神も酒に呑まれるのな。
最初のコメントを投稿しよう!