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「ロイズさん……それは聞き捨てならないな。私がそこの青年に勝てないだと?」
騎士団長の殺気はさらに膨れ、何故か風の流れを感じ始める。
おそらく、騎士団長は風属性なのだろう。
ちなみに、この世界では一人につき一つの属性が原則としてあり、才能あるものが訓練すれば二つ以上使えるようになる。
「まず、無理だろうね」
「……そうか。ならば、ためしてみようか!吹き荒べ、【ウインドブレイド】!」
あ、そうそう。
詠唱は言霊として魔法を形作るもので、必ず必要なんだよ!
でさ、魔力の属性と量分かったけど、使い方分かんねえんだわ。
シュン!
「ぐっふ!」
ザクとは違うのだよ、ザクとは。
「リーナさん!? ウインドブレイドなんて、彼を殺す気ですか!?」
「この程度で死ぬのなら、ロイズさんもあんなことは言わないだろう?」
いてえ。
向こうでなんか言ってっけど、それ以上におれにすごいことが。
さっき飛んできたのは、簡単に言うとカマイタチってやつかな。
つまりスパッと切れるもの。
けど、おれは"飛ばされた"。
そんで壁際まで来たわけだが、咄嗟に両手をクロスさせて身を庇っていた。
今、その両手の前は、巨大な円の形に空間が歪んでいる。
インビジブルエアの円バージョンと思ってもらえれば。
盾……なのかな?
うん、背中は痛いけど、どこも切れてないし、多分盾だろう。
ナニコレ。
「お、リーナ団長。ご存命のようだよ」
「……全く……化物だな」
「えっ? む、無傷?」
ロイズさんニヤニヤ。
騎士団長さらに殺気。
受付嬢半放心状態。
「あの、紹介状は……」
「ああ、あるよ」
「「えっ」」
いや、えっ、て。
「死にたくないんで」
それだけ言ってその場を後にした。
死にたくない。
というか、もうめんどくさい。だるい。
ああいうしつこいのほんとに無理。
できればぶっ飛ばしたいけど、できないのでおれが消える。
早く寝よう。
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