67人が本棚に入れています
本棚に追加
ギルドを後にし、適当な宿屋に入ってその日はすぐに寝た。
だって疲れたし。
そして朝。
なんだかよく分からないけど、とりあえず温い。
右半身が特に。
二の腕から肘にかけて、なんだかとても柔らかい感じがある。
右足に何かこれまた柔らかいものが巻きついてる感じがある。
そっと右手を動かす。
「んっ……」
「……おぅふ………」
真っ白な引きこもりさんがいました。
かわいい寝息を立てて、わたしの右手、右足に絡みついて離れません。
いろいろまずい。
い ろ い ろ と 。
なんとか抜こうと試みるが、なんせ力が強いし、動かすと、その、アカンことになる。
「生殺しじゃ………」
「トリックスターおはよ!」
「お、おう……おはよ……」
昨日より疲れた。
女の子って、柔らかいんすね。
「テタルトは?」
「まだ酒場じゃない?」
ようやく落ち着いたおれは、引きこもり改め、テリティと朝飯を食っていた。
宿の朝飯はカリカリのパンとスクランブルエッグ、コーンスープだった。
美味なり。
「あ、そうだ。テリティよー」
「んー?」
「"これ"何かわかる?」
そう言って、昨日不意に出現した透明な"モノ"を出した。
今回は歪み方からして、杖?かな?
「おお~。記憶意外は戻りつつあるみたいだね~」
なんか感心してるけど、説明してほしいな。
「簡単に言うと、神格ってのが戻りつつあるのでは」
「神格?」
「神が神であるための証明」
「……」
「神様ライセンス」
「把握」
要するに人からの信仰だとか信心だとかそういったものらしい。
神格は神が生まれた時点でそれぞれ決まっていて、それ以上にはならない。
そして、神格が高いほど、つまり創世に近ければ近いほど、強力な権能を有するらしい。
透明なあれは、おれの、トリックスターとしての権能の"一つ"だそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!