農耕・狩猟の国 フリア公国

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ギルドを後にし、適当な宿屋に入ってその日はすぐに寝た。 だって疲れたし。 そして朝。 なんだかよく分からないけど、とりあえず温い。 右半身が特に。 二の腕から肘にかけて、なんだかとても柔らかい感じがある。 右足に何かこれまた柔らかいものが巻きついてる感じがある。 そっと右手を動かす。 「んっ……」 「……おぅふ………」 真っ白な引きこもりさんがいました。 かわいい寝息を立てて、わたしの右手、右足に絡みついて離れません。 いろいろまずい。 い ろ い ろ と 。 なんとか抜こうと試みるが、なんせ力が強いし、動かすと、その、アカンことになる。 「生殺しじゃ………」 「トリックスターおはよ!」 「お、おう……おはよ……」 昨日より疲れた。 女の子って、柔らかいんすね。 「テタルトは?」 「まだ酒場じゃない?」 ようやく落ち着いたおれは、引きこもり改め、テリティと朝飯を食っていた。 宿の朝飯はカリカリのパンとスクランブルエッグ、コーンスープだった。 美味なり。 「あ、そうだ。テリティよー」 「んー?」 「"これ"何かわかる?」 そう言って、昨日不意に出現した透明な"モノ"を出した。 今回は歪み方からして、杖?かな? 「おお~。記憶意外は戻りつつあるみたいだね~」 なんか感心してるけど、説明してほしいな。 「簡単に言うと、神格ってのが戻りつつあるのでは」 「神格?」 「神が神であるための証明」 「……」 「神様ライセンス」 「把握」 要するに人からの信仰だとか信心だとかそういったものらしい。 神格は神が生まれた時点でそれぞれ決まっていて、それ以上にはならない。 そして、神格が高いほど、つまり創世に近ければ近いほど、強力な権能を有するらしい。 透明なあれは、おれの、トリックスターとしての権能の"一つ"だそうだ。
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