にちじょー

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朝6時16分。 いつものように枕元であいぽんがメロディを奏でる。 「……」 いつものようにそれを無言で止める。もちろん、スヌーズなど無しだ。 「……」 そしていつものように、ベッドから這いおりる。 二度寝をかましたいが、電車に間に合わなくなってしまうから、目を半分閉じたまま動く。 おれこと、織河静(おりかわしずか)ーー乙女な名前だと思われるが、列記とした男性名だーーは現在18で、公立高校へ通っている。 高校へは電車で一時間、駅まで自転車で30分、加えて電車は一時間に一本。 田舎あるあるだ。 おれの通っている学校には制服がなく、いつも私服で通う。 これも田舎?あるあるだ……と思う。 私服と言っても、過度な肌の露出、ジャージ、スウェットは基本ダメだ。 男子で言えばタンクトップ登校はNG。 にも関わらず、女子の肩出し、ミニスカ、谷間の見えるような服はオッケー。 まあ、男の先生もいるからな。 目をつむってやろう とはならない。 ちなみにおれはシャツやロンスカを着こなす女子の方が好みだ。 緑のチノパンにストライプの入った白のVネックシャツと、ラフめな服を選ぶ。 自分で言うのもあれだが、比較的身体はしっかりしているので、これで充分見栄えはする。 リビングに降りると、十ほど年の離れた妹がいた。 「おにぃ~おはよ~」 「おはよ。葵、母さんどこ行った?」 ちなみに、葵とは妹の名前だ。 葵は眠そうに目をこすりながら、衝撃的な事を口にした。 「おさけのみすぎちゃったから寝るって」 弁当ぅ!? いかん想定外だ。 葵も明日まで学校だから、ギリギリ今日まで弁当かっ……! サッ!(時計見る) 【06:20】 バッ!(洗面所へ駆け込む) ジャー!(顔洗って歯磨きして髪を濡らす) ブオー!(ドライヤー) ピシッ!(ヘアアイロンおよび整髪) ガラッ!(冷凍室を開け、冷食を確認) 「なん……だと……!?」 冷食無。 バンッ!(冷蔵室を開ける) (料理が始まったので、割愛) 「おにぃのお料理久しぶりだ~」 【06:59】 「ぬうぅ~……。葵、ご飯食べたらお弁当忘れずに持って学校行けよ! おにいはもう行くから!」 「行ってらっしゃい!」 「いってきま!」
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