粗筋

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閉鎖蒸気都市エイザトス。 濛々と市中に排煙を漂わせ、「灰煙」に包まれ孤立する、異形の都市。 あらゆる手段を以てしても誰一人として出ることを許さぬその都市は、それでもなお常に排煙を燻らせる蒸気機関によって生き永らえ、今もなお生きていた。その内に、異形なりし世界と繋がる「迷宮」を抱えて。 迷宮。エイザトスとはかけ離れた世界を見せる、謎多き遺物。あらゆる常識を捻じ曲げた幻想なりし世界。そして人を襲い人を食らう魑魅魍魎が跋扈する、異界そのもの。 そこはあらゆる現実が捻じ曲がり、あらゆる幻想が人々を襲う。時には≪化物≫として、時には災害として。 それでも人々は迷宮へと潜る。閉ざされた都市で生き永らえる為に。あるいは己が夢見る幻想の為に。 そこにある武器は二つ。 一つは同胞。終わりゆく世界でなお背を任せられる無二の輩。 それはいつしかギルドと呼ばれるようになり、同じ目的を持つ者共で組む組織となった。その流れは脈々と受け継がれ、今なお人々は各々で徒党を組み、各々の目的を持って迷宮へと潜り出す。 そしてもう一つ。幻想なりし異形へと抗う術。御伽噺で語られる、「希代の魔女」が遺した奇跡。 それは一つの計算式。しかして同時に無限の可能性を秘めた魔女の業。 「魔法式」 夢を渡る魔女によって人々へと植え付けられた、形無き力。あらゆる幻想にも抗い、異形を砕く無形の力。人々が生き残る為に生み出された、最後の希望。 人々は潜る、迷宮へ。 己が目的を果たす為に。己が願いを叶える為に。 その果てにある何かを探し求めて。
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