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 この世でいちばん不幸だって表情をすることばかりがうまくなった。  この身体の不調だったり、自らの生まれた環境の悪い側面ばかりに目をやって自分は恵まれていないと頭を抱えるのだ。  そのたびにわたしの表情は陰をおびて、この世の中に対して『ここに不幸なものがいます』と声高に叫んでいた。でも誰もわたしを気に留めてはくれない。  そんな自分はさらに不幸なんだと思い込んだ。  ごはんがあまりおいしくないから不幸だ、ぐっすり眠れないから不幸だ、身体がなんかかゆいし不幸だ。  だからわたしはこの世でいちばん不幸なのだ。  って、まあ、そんなわけはないんだけどねえ。  その証拠に、わたしのことを気にかける人が現れたのだ。
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