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ぶっちゃけ九能くらい? ――少ないって? いや少なくねえよ! 少なくねえんだよっ!
たとえばカミサマが人間を観察していると、その対象の頭上に数字が表示される。
それはその人が炊飯器の中の炊きたてごはんが黄色くなって食べる気が失せるまでの時間なんだぜ!(あの人は結構、黄色くなっても気にしないんだなあ)とか(この人は炊き立てしか食わないのかよ)とか思えるのさ。
この能力で九つあるスロットのうちの一つを埋めたんだぜ! ぜいたくだね! すごい、ぜいたくな使いかただね!
閑話休題。
牡丹はネコで、生後十ヶ月のメスである。
針葉樹の立ち並ぶ森の入り口に佇む牡丹は、あるネコの集団を一心に見つめていた。
ネコは基本的にそれぞれにナワバリを決めて生活しているんだけど、複数のネコのナワバリが重複する場合は、その重なった地点で話し合いが行われるのさ。
今日はそんな『集会』が行われていて、たいていはその場所は互いに不可侵ということでけりがついた。この森は食べ物が豊富なので、重なっていないナワバリを回れば充分、食うには困らないのだ。
そのはずだが、今回はようすがおかしい。
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