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黒いネコがこんな提案をする。「俺のナワバリのエサが少なくなってきたので、重なっているここのエサも取ってよいか?」と。しかし、ほかの三匹はそろって首を振った。
「お前がむやみに食いまくるからだ」とか「いままで不可侵でやってきたんだそうそう変えられるか」、果ては「本当か……?」なんて疑われて黒いネコは腹が立ったが、ぐっとこらえた。
黒いネコはもう生後一年のオトナなので簡単に怒りを表に出したりしないのである。
この黒いネコにカミサマは濡羽(ぬれば)と名付けた。羽根は生えていないしカラスでもないがね。
牡丹は、集会が終わって一匹残された濡羽を見つめつづけている。
どうやら牡丹は濡羽にホの字ってやつだった。でもどうしたらよいのかわからずに見つめることしかできていない。
ただ、ひしひしと濡羽の力になりたいという想いは伝わってくる。カミサマ妬いちゃうよね。
いや……正直に打ち明ければカミサマの仕業なんだよね、濡羽のナワバリのエサが育たないの。
お節介とイジワルのあいだの心境ですよ。
それにしても黙って見つめている場合じゃねえんだぜ!
牡丹よ! エサ持って近づくならいまだぞっ!
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