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「もう、烈。また眉間にシワが出来てるわよ。」
廊下で偶然出くわしてしまった彼女はそういうと、指で僕の眉間を触る。
「触るんじゃねぇよ。」
僕はそう言うと彼女の手をはらった。
「烈…、いつからそんな口が悪くなったの…。昔はそんな…。」
「昔?それはいつの昔だ。偽物の記憶に塗り固められた昔なんて、そんなの僕は認めない。」
彼女は、いつものように困ったように笑った。
「烈…、いつもいう偽物ってなんのこと?お姉ちゃん、分からないんだけど…。」
「…あんたなんか、本当の姉さんじゃねぇ。もっと本物は誇り高く、強くて、不器用だ。」
僕はポツリと呟くと、彼女から離れ、食堂へと向かった。
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