黒種病

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幼馴染の芦屋蚕と山に山菜を取りに来てた俺が異変に気づいたのは、日が沈み始めた頃だ。 村の方から火の手が上がっている。 不安げに俺の服の袖を握る蚕を麓の公民館に行くように告げ、俺は村へ急いだ。 村に着いた俺が見た光景は壮絶なものだった。 村のあちらこちらから悲鳴や怒号、爆発音が聞こえ、家が燃えている。 「これは…何かとてつもなくヤバイぞ…」 俺の生存本能が公民館まで走れと告げるが、それを無視して自分の家まで走った。 幸いにも家は燃えていない、最初に燃え始めたのは村の中心のようで、ほぼ外側に位置する俺の家にはまだ影響はないようだ。 そういえば、村の中心には黒種病患者の隔離房があったはずだ。 思考がそこまで至ったとき背筋が凍りつく感覚が俺を襲う。 「もしかして…この混乱の原因って…」 俺は途端に家の扉を開けるのが怖くなった。 見慣れた扉のはずが、今は冥府への入口のように見えてしまう。 もし、もし中に黒種病患者がいたら? もしそいつが襲ってきたら? 考え始めるとキリがない。 俺は勇気を振り絞り家の扉を開く、そこには凄惨な光景が広がっていた。
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