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「一つ、質問していいか、亜弓」
その声にはいつになく真剣な響きがあって、私はゆっくりと窓の外から運転席の浩二の方へ視線を移した。
私を見つめる浩二の眼差しも、今まで見たことがないくらい真剣そのものだ。
「お前、今の彼氏のこと、本気で愛しているのか?」
「……え?」
何を、藪から棒に。
そんなマジな顔をして冗談言っても、笑えないよ。
そう言おうと思ったけど、言葉が出ない。
浩二の目が、まるで嘘を見抜いてやるとでも言いたげに、恐いくらい真っ直ぐに私を見ていたから。
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