176人が本棚に入れています
本棚に追加
土曜日は、今にも泣き出しそうな空模様だった。
もう、八月になるのに、少し肌寒く感じる。
アパートのある県南から、実家のある県北へは、電車とバスを乗り継いで約一時間半。
同じ県内にあっても、ハッキリ言って、実家は田舎だ。
周りは、田んぼと畑と雑木林。
隣の家まで、
って、これは従弟の浩二の家なんだけど、
車で優に、十分はかかってしまう。
それくらいの、ど田舎。
アパートのある県南は、都心に近いこともあって、それなりに発展している。
で、目的地のハルカが入院している中央病院は、その名の通り県の中央にある。
暴露しちゃえば、アパートから直行すれば一番近いわけで、実家に帰る必要はなかった。
だけどこの時、私は、無性に実家に帰りたかったのだ。
強いて言えば、この辺のホームシック的な感情が、直也に対する後ろめたさの一因かも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!