第4話【暴露】暴かれた想い。

5/30
前へ
/30ページ
次へ
「何よ、それ。どこに肉なんか付いてんのよ?」 助手席から、運転席の浩二の下腹部にチラリと視線を走らせたら、 「見るなよ、亜弓の、エッチー!」と、言われてしまった。 二十五歳のいい年した大人の男が言うセリフかい? ああ、もう。 こう言うヤツだった、こいつは。 具合でも悪いのかと、心配して損した。 ため息を付きつつ視線を上げると、フロントガラスにポツリと水滴が落ちてきた。 それを皮切りに、次々に落ちてくる雨の粒。 「あーあ。とうとう降り出しちゃったね、雨」 「ああ……」 パタパタと、フロントガラスに、大きめの雨粒が丸い模様を描いていく。 動き出したワイパーの向こうに見えてきたのは、県下でも一、二の規模を誇る『中央病院』。 地下二階地上四階建てのこの白い建物は、最近建て直しされたばかりで、見るからに真新しい。 ここには、国内でも名医と名高い心臓外科のお医者様がいるのだそうだ。 ハルカは、そのお医者様の執刀で、心臓の手術を受けることになっているのだとか。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加