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キオー大陸の片隅にある『ノマール』村。ここに一人の青年『ユウシャ』が目を覚ます。
「ふわぁぁ… よく寝たなぁ」
伸びをしながらユウシャは時計を見る。
「昼過ぎだ、しまった… 今日の朝、村長に会う約束してたんだっけ…」
過ぎてしまったことはどうしようも無いので、とりあえず着替えて村長の家へ向かうユウシャ。
「遅かったのう…ユウシャよ?」
村長の家に着くと、終始笑顔だがコメカミに大量の怒りマークと言葉を震わせて村長は待っていた。
「まぁまぁ、村長。朝の畑仕事がそんなに苦ならもう引退でも…」
「そんなことじゃないわい!」
ユウシャの能天気っぷりに村長はさらに声を挙げた。
「よいか、今日お前を呼んだのは最近村の近くにも現われるようになった『ゼリリン』がおるだろう? その親玉『キングゼリリン』を退治してもらいたいのじゃ!」
「え~…」
露骨に嫌な顔をするユウシャの頭上になにやら浮かび上がり文字が写る。
―はい
―いいえ←
「…こほん、もちろん危険がつくからの。ほれ、これで道具屋に行って装備を整えなさい」
ユウシャは村長からお金の入った布袋を受け取る。
「…軽い」
―はい
―いいえ←
「…おっほん! そうじゃ、ならばワシの秘伝の薬草もやろう」
なかなか頷かないユウシャに村長は特製の薬草を渡す。
「うっぷ! くっさ! なにこれ、漢方!?」
―はい
―いいえ←
「あぁもう! わかったわい! ちゃんと退治したら報酬もだすから行ってくれ!」
悪態ばかりつくユウシャに村長もとうとう折れてしまった。
「本当に! やった~!」
―はい←
―いいえ
「…ではユウシャよ、村を出て東にある洞窟を目指せ」
「あれっ? それってヤマダさんの土地だよね?」
「ユウシャよ、期待しているぞ」
笑顔が凍ったままの村長はその一言でユウシャへの依頼を頼みきった…
「わかったよ~」
村長の圧力に負けたユウシャはドアの前まで行く。
「でもさ、村長。なんで俺の名前って『ユウシャ』なの?」
「いいから、さっさと行かぬか~!!」
村長の怒鳴り声にユウシャは外に出された。
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