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「では、とりあえずここは解散で。2次会は各自で行ってもらいましょう」
私の意見を聞いて、高宮課長はほぼ話を理解できそうにない酔っぱらいどもに声を掛けた。
「今日はこの辺で解散です。各自2次会行くなり、帰るなりよろしくお願いします。家に帰るまでが宴会です。くれぐれもハメを外し過ぎないように。わかりましたか?」
みんなは遠足帰りの校長先生のような課長の言葉に元気よく「はぁ~い」と答えた。
このお方は酔っぱらいの扱いも上手いのか。
私は課長を頼もしく見上げた。
みんながわらわらと店の外に出る中、私は荷物=直樹の回収に向かった。
さすがの瑞希ちゃんも“モノ”には気づかず賑やかな2次会の集団に付いて行ったらしい。
「直樹、起きて。帰るよ」
「ん…」
隣で軽く背中を揺すると直樹が自然と私の肩に手を回す。私は腰を低くし、抱える気で腕を取ろうと…。その時、
「僕が…」
反対側のすぐ後ろからスーツの腕が伸びる。
「高宮課長…すみません」
私は思わず謝った。
課長はちらっと私を見てふっと笑ったが、すぐに直樹の肩を支えて抱えた。
私たちは店の前でタクシーを拾い、直樹を乗せた。
私は運転手に住所を告げ、直樹の上着のポケットに入っていた携帯のアラームをセットして戻した。
タクシーを見送っていると
「さてっと…お邪魔虫もいなくなったし」
とすぐ隣で高宮課長の声がした。
「1軒付き合ってくれませんか」
ネクタイを弛め、外したボタンから覗く鎖骨が目の前にあって、いつも爽やかな課長がやたら色っぽい。
ほんとは久しぶりにお気に入りのワンショットによって帰るつもりだったんだけど、せっかくのお誘いだし。
「はい」
少しだけドキドキしながら返事をした。
「じゃあ」
そう言って私の腕に腕をからめ、エスコートしていく。
「えっ、か、課長?」
私はこのシチュエーションが理解できずに焦って話しかけたが、課長はニコニコしながら引っ張っていく。
“こ、これっ、ありえないし!課長もちょっと酔ってる?まあ、あの直樹に付き合ってたんだもの、酔ってるのよね”
普段の課長からは想像できない大胆で強引な感じに激しく動揺しながら、そのままついて行った。
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